白内障とは
白内障は眼の中にある水晶体というものが白く濁ることで起こる病気です。
よくたとえに使われるのは卵の白身。熱を加えるまでは透明でトロトロしている白身ですが、フライパンで熱を加えると白く固くなるのはご存じだと思います。水晶体も白身と同じたんぱく質ですから、体質・紫外線・老化などの酸化が起こることで同じように白く濁ってしまうのです。
では、白く固くなった卵の白身に何か液体をかけて元の透明に戻せるでしょうか?そんな液体は存在しません。一度変性してしまったたんぱく質は元には戻らないのです。、、、ということはつまり、白内障を治せる目薬はありません。白くなってしまった水晶体を治す方法は水晶体そのものを取り除く白内障手術しかないのです。
白内障手術
さまざまな方法がありますが、現在は超音波乳化吸引装置とフォルダブルレンズ(折りたたみ型眼内レンズ)を用いた方法が主流です。傷口も3.2㎜の大きさで手術を行うことができます。
白内障手術の目的は視覚機能の回復と白内障による合併症の予防です。手術自体がうまくいっても、最終的に視力が回復しないのでは手術は失敗と言わざるをえません。白内障手術の成功には様々な要因が関係してきます。手術執刀医の実力が必要なのはもちろんのことですが、それ以外にも重要な要素が大きく分けて3つあります。この3つの要素がバランス良く得られることを確認してから、手術に入ることになります。
ペット側の協力
- 目薬・飲み薬ができるか。
- 入院・処置をおとなしくできるか。
- エリザベスカラーをできるか。
白内障手術では手術後の通院または入院(3日程度)と退院後のご自宅での目薬・飲み薬が必要です。
入院や目薬などがどうしてもできない場合には、手術前に練習期間が必要となることもあります。
飼い主側の協力
- 自宅での目薬・飲み薬の投薬がきちんとできるか。
- 通院日程の順守
目薬は1日3回の処方となります。(朝昼晩or朝夕晩)
手術後は検診も必要ですので、検診に通える日程で手術日程を考える必要があります。
獣医師側の協力
- 手術適応の判断。(手術により視覚が回復するか否かの判断。)
- 眼の状態や犬の性格に合わせた手術の選択、経験。
- 手術後の状態、ペット・飼い主の協力の程度を考えた治療法の選択。
僕たちがサポートします。
自宅での治療中も不安なことがあればいつでもお尋ねください。
白内障手術までの簡単な流れ
STEP1診察(術前検査)
手術をご希望の場合には、手術が出来る眼の状態なのか、手術で視覚が回復できるのか、を確認するため、予め検査が必要です。また、全身麻酔をかける手術となるため、血液検査、レントゲン検査も同時に行います。すべての検査結果、飼い主様の希望を加味した上で、手術の相談と日程の決定を行います。
STEP2手術
当日は9時頃にご来院頂き、手術前に3時間の術前処置を行います。
ケージ内でおとなしい子は9時にそのままお預かり、ケージ内で大人しくできない子は飼い主様と手術までお待ちいただきます。
手術は12時過ぎから行い、片眼で1時間半から2時間、両眼で2時間から2時間半で終わります。
日帰り手術の場合は17時頃最終チェックを行い、問題なければ退院となります。
STEP3通院
手術後、通常3日間の通院を行います。
通院中は眼の状態のチェック、注射治療を行います。
通院が困難な場合には入院での手術も提案させていただきますが、入院が困難な性格の症例もいますので、基本的には通院での治療を推奨しております。
STEP4検診(手術後)
手術後の定期検診を行います。皮膚切開(外眼角切開)を行っていた場合には手術の2週間後に抜糸を行います。手術2週間後まではエリザベスカラーの装着をお願いしています。
定期検診の頻度は眼の炎症の様子などによりますが、通常手術1週間後を3回、その後2週間隔で3回、その後1ヶ月ごとに6ヶ月目まで経過を見させていただきます。
術後2週間までは内服と点眼、その後3ヶ月目までは点眼を継続していただき、合併症などがなければ点眼は終了となります。
STEP5定期健診
手術半年後以降は半年毎の健診となります。
手術の合併症を減らすには、定期的な検診が不可欠です。
通常半年以内に合併症がなければ安心と言われていますが、白内障によって目に炎症を起こしていた目は他の病気にもなりやすいので、年数回は検診をお願いしています。
白内障手術の風景
無菌状態で、全身麻酔を行い手術を行います。
〒183-0052 東京都府中市新町1-52-1-A
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