狂犬病注射の意義
毎年3月になると狂犬病注射のおハガキが市の方から届くと思います。
当院でもみなさん府中・国分寺・国立・小金井・調布などの
おハガキを持って来院されています。
ご存知だとは思いますが、
わんちゃんを飼っている方は年に一回狂犬病の予防注射をする義務があります。
現在、日本国内には狂犬病は発生していません。
いわゆる清浄国という認定です。
「じゃあ、狂犬病のワクチンなんて打たなくていいんじゃないの?」
という意見が国内でも増えてきました。
お隣、韓国でも同じ考えの人がたくさんいました。
1998年に韓国は清浄国と認定されていたため、
それ以降多くの人が自分の家の犬に予防接種をしなくなりました。
そして、狂犬病注射の接種率が20%となった時、狂犬病が再進入しました。
現在では人間が死に至るほど、蔓延しています。現在の韓国の狂犬病予防接種率は40%代です。
野生の犬科動物を殺処分するなど対策をしていますが、未だに淘汰できていません。
WHOによると狂犬病の予防接種率が70%代であれば、再進入の際に蔓延することを防げるそうです。
狂犬病は人が発症すると100%死に至る病気です。
日本は島国なので、野生動物が侵入することは少ないですが、
北朝鮮やロシアの船には当たり前に犬が乗ってやってきます。
これらの犬から蔓延する危険性は常にあるのです。
日本では安全性の高い不活化ワクチンが使用されています。
(アメリカは生ワクチンで効果が強いので、3年に1回で良い。
アメリカの狂犬病は主にコウモリが媒介するので、完全に清浄国となること自体難しいということもある。)
自分の犬は打たなくても、、、という人が全体の30%以上いると、
日本に狂犬病が入った時にわんちゃんやその飼い主は加害者になってしまいます。
犬と人間の生活を守るためにも、毎年の狂犬病注射を欠かさないようにしてください。
予防注射の副作用を避けるために
予防注射の副作用はアレルギーなどの事前に見つけるのが難しいものから、
本人の病気や体調不良に起因するものまで多様です。
本人の体調については当日のお家での状態や
事前の身体検査で避けられるものも多分にあります。
ご飯の食べつきが悪い、いつもよりはしゃがないなど不審な点がある場合には
接種を延期するという賢明な判断も必要になります。
また、注射後の体調変化に注意することで副作用が出ても
大事に至らないことがほとんどですので、
狂犬病予防注射に限らず、予防接種の日には時間に余裕を持って
(できれば午前中に来院して)
接種を行いましょう。
接種後24〜48時間はよく様子を見てあげてくださいね
ちなみに、狂犬病予防注射による副作用は以下の通りです。
- 局所の発赤、腫脹、硬結
- 発熱
- アナフィラキシーショック、熱性痙攣
体調が悪くても打たなくてはいけないのか!?
前述の通り、狂犬病予防注射はわんちゃんを飼っている方の義務になります。
絶対に打たなくてはいけません。
ただし、法令で獣医師がわんちゃんの健康状態から
接種不可能あるいは接種による影響が大きいと判断した場合には
接種を免除される場合があります。
これを狂犬病予防注射の猶予といい、猶予されると猶予証明というものが発行されます。
この猶予の注意点としては判断するのは獣医師であるという点です。
また、猶予証明を出してもらってもこれを行政の方にきちんと提出していないと、
やはり違法になってしまいます。
猶予証明は多くの場合1年しか効力がありません。
集合注射のガイドラインに獣医師が猶予を出す目安となる注射不適当犬・注射要注意犬が
記載されていましたので、以下に抜粋します。
(平成8年のものなので大変古いものになります。)
注射不適当犬・・・狂犬病注射は打たなくて良い。
- 咬傷事故を起こして2週間の鑑定期間中の犬
- 重篤な疾患にかかっていることが明らかな犬(重篤とは死に直結する状態)
- 重篤な心不全状態にある犬(近い将来突然死の予測される状態)
- 急性期・増悪期の腎不全状態の犬(腎不全の末期の状態)
- 以前に狂犬病ワクチンやその他のワクチンでアナフィラキシーを起こした犬
- 発熱を呈している犬
- 心臓・腎臓・肝臓・栄養障害などの基礎疾患を有する犬。(いずれも治療によりコントロールできていない犬)
- 以前の予防注射で発熱の認められた犬、発疹などのアレルギー症状を呈したことがある犬。
- けいれん発作を起こしたことがある犬。
- ワクチン成分に対してアレルギーを呈する可能性のある犬。
- 妊娠中の犬。
- 強度の興奮状態にある犬。
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